賛成意見:2006/4/26(寺尾)

「梅田貨物駅が吹田操車場跡地へ移転されることの市民の意思を問う住民投票条例」についての賛成意見

梅田貨物駅が吹田操車場跡地へ移転されることの市民の意思を問う住民投票条例の制定について、吹田いきいき市民ネットワークを代表し意見を申し上げます。
全国的にも、住民投票制度は自治体の政治や議会制デモクラシーと対立するものではなく、政治の主権者は住民であり、その住民が自らの意思を直接表明する機会をより多く持つ事は、かえって自治体の政治を活性化し首長や議会の責務を増すことになるとして、各地で住民投票が現実化しつつあります。
また、地方自治体の自己決定権の範囲が拡大しています。自己決定権の拡大は、単に国との関係だけではなく、自治体と住民の関係においても考えなければ、真の分権改革とは言いがたいといえます。住民の生活に大きな影響を与える政策決定は、当然のことながら、住民の意思を的確に把握して行うことが求められ、そのしくみのひとつとして住民投票が位置づけられると考えます。今回の住民の皆さんによる住民投票の提起により、議会においていくつか議論が深まりました。
住民投票の一般的技術論ではなく今議会で話し合われた内容に沿って意見を述べます。

まず、住民投票の実施如何に関わらず以下3つの点で、意義深い臨時議会であることを申し上げます。

  1. 近い将来市長から提案されるとする自治基本条例の特に住民投票のあり方について、本条例提案は私たち議員や市民の皆さんに問題提起のあった臨時会議です。
     
  2. 議員は選挙においてひとつひとつの課題達成のために選ばれているわけではありません。多くの場合、市政全般にわたって、議員や政治団体の取り組み方の姿勢を評価されます。このため議会で議員が4年間の任期の中でひとつひとつ誠実に議論することとは別に、個別の案件について住民の意見を反映するしくみが必要となってきます。それが住民投票の補完性ということです。
    実際、市民の皆さんは個別の案件に対し議会に請願した場合、分権自治といわれながら、政治団体によっては国と同一の歩調という理由だけで対処されてしまったり、地方自治体は議院内閣制ではないにもかかわらず、与党・野党というくくりのなかで対処されるなど、市民は議員に対し「白紙委任をしたわけではない」とフラストレーションを感じることが多い状況です。そこで行政や私ども議会は住民が提起された個別問題に対し、ともに真摯に向かう必要があります。
  3. 行政及び議会による情報提供についても、考えなければならない事が顕在化しました。
    今回、市長の提供したという吹田操車場跡地に関する情報が、必ずしも市民に行き渡っているかといえば、そうではないこと。  市報・ホームページ・市民との対話についても情報提供について議論がありました。
    私どもはその情報提供で全てが事足りない場合には、積極的な情報提供に挑むのが市長の公約であると理解していました。

このところまちづくりなどで地域に説明を含む参加の手法が馴染んできています。
行政は地域ごとにひるまず議論を繰り広げる事は可能であり、必要であり重要であると考えます。確かに地域での議論は、行政側以上に市民の側も怒号や一方的な議論を繰り広げる姿勢で臨むと、説明責任のある行政は別としても、他の市民も近寄りがたくなる事があり、行政側も説明会を臆した理由であったと考えます。このことは市民の皆さんも自治に参加する主体として考えていただかなければならないとあえて申し上げます。
その意味で賛成派・反対派が自由に意見の言えるしくみ・ルールがある中で情報交換や意見披露ができる議会という機能も重要であると蛇足ながら申し上げます。

今議会の議論の中で、今後住民投票条例の可決如何を問わず、市長は地域に説明に出掛けられるとのことです。今回の議会で問題の所在もかなり明らかになりました。これを踏まえ、市民への説明会のスタートをきちんと切るべきと考えます。
付け加えて言えば、今臨時議会において、特に通常にはない市民の皆さんの傍聴や意見陳述のなかで本会議・委員会が行われることで議論が活発に行われ、本来議会とはこのような形があるべき姿ではないかと強く感じました。議会の活性化のために、いかに市民の皆さんの力が有効かも感じました。日頃から私ども「吹田いきいき市民ネットワーク」が提案しているCATV放送などで、議会議論の情報提供をする必要をことさら強く感じました。
以上が私どもが本臨時議会で確認できたことです。

さて、私どもは以下の点で住民投票条例に賛成いたします。

  1. 認識の違いはあるものの、公害についての議論が深まりました。交通量の増加による大気汚染と喘息について今後に向けた行政情報蓄積の必要性も含め,交通公害についての近隣住民の危惧や今後の環境問題は市民自身が深く関わっていることを全市的に共有するため住民投票を行うべきです。
  2. 市長意見の議会と行政は両輪・一体となっているから、住民投票は必要ないとの事に関して言えば、議員は、市民の信託を受けて市の事柄や方向性を議論する役割がある以上、ひとつひとつの議案に対し賛否を行政と一体に関わる事はあたりまえであり、そのことを持って議会と一体にかかわっているから行政と議会は乖離が無いというのは詭弁です。
    このような詭弁にもとづいた市長意見を受け入れる事はできません。
  3. 市長の住民投票に対する政治的判断について、「議会の圧倒的多数」「市民38887票の請求は市民と議会・行政と乖離することを示すものではない」といった、非常に個人的・主観的な意見を根拠とするほかは無かったということが本臨時議会で明らかになりました。このこと自体、行政側の説明能力の不足を示しています。今後のメリット・デメリットを市民の皆さんに認識していただくためにも、住民投票をすべきです。

今回、このような市長意見を出され住民投票に向かわれた事は、本市市民はもとより、全国的にも注目されています。 市長や本市理事者の考える自治や分権の考え方のレベル、ありようは、本市市民はもとより全国からの注視に耐えられるか、あるいは本市の歴史的視点から見ても、それこそ市民の分権・自治感覚と行政感覚が乖離してはいないか、私どもは指摘してまいりました。
これまでの説明手続きは充分でなかったと私どもは判断せざるを得ません。そして住民投票条例の請求を認めることで、次の手続きである住民への情報提供要件を確保すべきと考え、住民投票条例について賛成の意見を表明いたします。